ビジネスにおける「コーチングの効果」とは(個人編)

コーチングはあなたがより自由に楽しく働くために、そして、夢や目標を実現するために、可能性を引き出し「本当は何をしたいのか」「本当はどうありたいのか」を見出しながら、行動を支援するパートナーシップです。

では、コーチングにはどのような効果があるのでしょうか。

この記事では、個人の方がコーチングを受けることによって得られる効果について見ていきます。

コーチングの5つの効果

コーチングの効果を整理すると、次の5つに分けられます。

話すことで自分の考えが分かり、頭の中が整理できる

筆者がコーチングの効果として期待する最も大きな一つがこれです。コーチに頭の中にあることを話すことによって、自分の考えがはっきりと分かり、頭の中が整理できる効果があります。やりたいことが明確になったり、ビジョンがはっきりしたりもします。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。自分の考えをコーチに向かって話すということは、コーチに向かって話しているように見えて、実は、自分の声を自分自身でも聞いているのです。考えが一度、言葉として自分の外に出て行って、改めて、自分の耳から入ってくる……このプロセスを通じて、自分の考えを改めて認識でき、「あぁ、自分は、こういうことをやりたかったのだな」「そうか、本当はこういう風に感じていたのか」と気付くわけです。これを、専門用語で「オートクライン」と言います。

また、私たちが頭の中でイメージしていることを第三者に説明するとき、相手に分かるように、頭の中で整理しながら言葉にします。相手に伝わるように話すということ自体が、頭の中でなんとなくイメージしていたことを明確にするプロセスなのです。

これらによって、自分の考えが改めて分かり、頭の中が整理できるわけです。

「問い」を投げかけられることで発想が広がる

コーチングは、コーチとの対話を通じたコミュニケーションですが、コーチングの効果が発揮される一つが、コーチによって投げかけられる「問い」です。問いを投げかけることによって、今まで考えることがなかった視点を考えることにつながり、アイデアや発想が広がる効果があります。

例えば、チームのまとめ方で悩んでいるときに、「もし、ベストな状態が10だとして、今の状態を数値で表すとしたら、どのぐらい?」と問われたら、今の状況を客観的に把握することに役立ちますし、「周りにうまくいっているリーダーはいる?その人は何をしているだろう?大切にしている思いは何だろう?」という問いは、上手くいっている人からヒントを得る機会になるかもしれません。

また、進めている仕事がうまくいかないときに、「あー、もうだめだー」のように、打ち手が何もないように考えてしまうことはよくあることです。そのような状況のときに、「この経験で学んだことは何だろう?」「今の状況が近い将来生かせるとしたら、どんなことに生かせるだろう?」のように視点を変えることで、ネガティブな意識をポジティブに切り替えるきっかけにもなります。

そこでコーチは、「戦略的に」クライアントの発想を広げ、新しいアイデアや気づき、問題を解決するためのヒントが得られるように問いかけるのです。

起こっている事実をなかったことにすることはできませんが、物事の捉え方なら変えることができます。だからこそ、可能性が見えてくるのです。

「何のためにそれをするのか」が分かり、行動につながる

夢や目標を現実にするためには、行動が必要です。けれども、なかなか行動につながらない、行動できないこともあるものです。

行動を起こすためにもっとも効果を発揮するのが「動機」――つまり、「何のためにそれをするのか」――です。目的や意味、価値、使命、役割のように言い換えてもいいかもしれません。これらが再認識できれば、行動につながりやすくなります。

例えば、「コーチングを受けよう」と思うのは、「チームをよりよくしたい」のような、何かしらの目的があるでしょう。さらに深く考えてみると、「同僚が楽しく、充実した気持ちで働くことができる」、その結果「チームの業績が上がる」、その結果「お客さまから喜ばれる」、その結果「お客さまから感謝の言葉が届く」、その結果「同僚と喜び合う」、その結果「同僚の笑顔を見て、うれしい気持ちになる」、その結果「満たされた気持ちになる」……のような、今まで意識したことがなかった目的や意味があるかもしれません。

このように、自分の深い部分にある「それを叶える本当の目的や意味」を見出すことができれば、行動的になれます。

コーチングには、「何のためにそれをするのか」(目的や意味)を見出す効果があります。

今、「何をすべきか」が分かる

前項「『何のためにそれをするのか』が分かり、行動につながる」では、行動の目的を明確にできることについて触れましたが、夢や目標が大きすぎるがゆえに、行動できないこともあります。

例えば、「私は世界の子どもたちを幸せにしたい」という目標はすばらしい目標ですが、テーマが抽象的なので、何をすればそうなるのかが明確ではありません。

そこで、「世界というのは……例えば?」「どのような状態だと、子どもたちは幸せだといえるでしょうか?」「それを実現するために、あまり努力することなしに、今、すぐにでもできる小さな行動はありますか?」のように、小さな行動に落とし込むことができれば、具体的な行動につなげやすくなるでしょう。

コーチングでは、目標を具体的なイメージにして、行動できるレベルまで落とし込む――つまり、「今、『何をすべきか』が分かる」――効果があります。

感情マネジメントに役立つ

頭ではどんなに、「〇〇を実現したい」という夢や目標を抱けても、いざ、行動に移そうとすると、不安、恐怖、心配など、ネガティブな感情が行動を止めてしまうこともあるものです。感情は思考よりも強いので、このままではなかなか行動につながりません。

コーチングでは、不安や恐怖、心配などを話すことで、心が軽くできる他、感情のマネジメントに役立てる効果があります。

なお、感情マネジメントには、心理学やカウンセリングの要素が必要な場合があります。もし、感情マネジメントも扱いたい場合は、これらのサポートができるコーチに依頼することをおすすめします。

しごとのみらいでは、NLPというコミュニケーション心理学を生かすことで、サポートしています。

まとめ

コーチングの効果について見てきました。

ここまで見てきたように、コーチングには、改めて「本当に何をしたいのか」を整理し、それを実現するために発想を広げて選択肢を増やし、それらを確実に行動に結びつけていくために、動機づけとなる行動を見出し、今できる具体的な行動計画を立てながら、あなたが実現したいことをサポートしていくことだということが分かりました。

また、行動には不安、恐怖、心配など、感情が行動を止めることもあるものです。感情を上手くマネジメントすることで、結果につなげていく効果があることが分かります。

コーチングを受けることで、「あなたの夢や目標は絶対に叶うよ」と申し上げるつもりはありませんが、少なくとも、一人で考えているよりも頭の中が整理できますし、行動的になれると思います。そして、コーチはあなたの夢や目標が叶うよう、全力でサポートするのが仕事です。もし、「夢や目標を叶えたいな。そのためにも、もっと行動的になりたいな」と思ったら、検討してみるといいかもしれません。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。