思考

「抽象的思考能力」で問題解決力を高めよう

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ビジネスシーンではさまざまな問題が起こります。

対応マニュアルがあればそれに従えばいいですが、マニュアル化されていない問題は、その都度、解決策を考える必要がありますよね。

しかし、問題が複雑な場合、何がベストな解決策なのかを見出すのが難しい場合もあります。特に、近代のような複雑な社会では、「どちらかを立てれば、どちらかが立たない」という問題が山積みです(たとえば、原発問題がそうですよね)。明確な答えがないばかりか、対応を間違えればさらなる対立を招きかねません。

このような、複雑な問題を解決するために役立つのが、抽象的思考能力です。自分の頭で考える力をつけて、さまざまな問題を解決していきたいものですね。

一方、抽象的思考能力について調べてみると……

  • 一つ上の、大きな視点で捉えること
  • 本質的なことを考えること
  • 抽象的思考とは、メタ思考である
  • 頭のいい人がする思考法

など、意味はなんとなく分かるものの、いまひとつピンとこないのが実情ではないでしょうか。

そこで、この記事では、抽象的思考能力について解説し、どのようにすれば抽象的思考で考えることができるのかについてお伝えします。

抽象的思考能力を感覚的に理解しよう

理論的な説明は後回しにして、まず、感覚的に理解することからはじめましょう。

抽象的思考とは、「大切なのは、○○(細かい問題)ではなく、□□(もっと大切なこと)なのではないか?」と考えてみることです。

たとえば、今、社会ではさまざまな問題が起こっています。

  • 原発か、反原発か
  • 仲間の国を守るため武力使うのが正しいか、正しくないか
  • 円安のほうがいいか、円高のほうがいいか
  • TPPに入ったほうがいいか、入らないほうがいいか

そこで、これらの問題を「大切なのは……」を考えてみます。たとえば……

  • 大切なのは、原発か、反原発かではなく、私たちが安心して毎日を過ごせるってことなのではないか
  • 大切なのは、仲間の国を守るため武力使うのが正しいか、正しくないかではなく、お互いを尊重しあい、平和に過ごすということなのではないか
  • 大切なのは、円安のほうがいいか、円高のほうがいいかではなく、為替に影響されない生活を築くことではないか
  • 大切なのは、TPPに入ったほうがいいか、入らないほうがいいかではなく、お互いの国が平等にやり取りする、もしくは、海外に依存しなくても自分たちの中で完結できるコミュニティを創ることなのではないか

このようにすると、個々の問題よりも、それらをも包み込むような答えになるでしょう。「異なるものを『より大きな共通点』で一つにまとめる」イメージです。

図で示すと、次のようなイメージです。

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これが、抽象的思考です。個々の違いを、より大きな概念(しかも、より大切な)で包み込むようなイメージです。

抽象化思考のメリット

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抽象化思考には、次のメリットがあります。

対立した事柄を包括し解決策を考えられる

対立した事柄に共通した「本来の目的」を考えることによって、お互いを包括し、本当に必要な解決策を考えることができます。

手段ではなく目的から物事を判断できる

「本来の目的」が分かることで、手段ではなく目的から、「今必要なのは何か」を判断することができます。

「本当に大切なこと」に気づく

「本来の目的」が分かると、物事の本質(本当に大切なこと)が見えてきます。たとえば、仲間の国を守るため武力使うのが正しいか、正しくないかが大切なのではなく、本当に大切なのは、お互いを尊重しあい、平和に過ごすということであるように。

選択肢を増やせる

「本来の目的」が分かると、手段の選択肢を増やすことができます。

たとえば、「資格」で考えてみましょう。資格とは、第三者からの「この人はこのぐらいのことができますよ」という証明です。そのために、多くの人は「第三者からの信頼の証」を得ようと、一生懸命勉強しています。

一方、「信頼」が大切ならば、資格以外にも、「目の前の仕事を一生懸命取り組み、顧客から信頼される」ことも選択肢としてあります。

つまり、「本来の目的」が分かると、手段の延長上にはない、まったく新しい選択肢を得ることができるわけです。

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軸ができる

「本当に大切なこと」が見えてくると、自分やグループ(職場、チームなど)にとっての存在意義(アイデンティティ)や役割が見えてきます。「私(たち)は何のためにこれをしているのか」という存在意義は、思考や行動の軸となり、ぶれなくなります。

動機付けになる

「本来の目的」が分かると、行動の意味が明確になり、動機付けになります。

たとえば、私の友人のMさんは、運動不足で体重が増えたことが気になっていました。そこで、抽象的思考をしたそうです。

  • 体をシェイプアップする→(それによって、どうなる?)→
  • 自信がつく→(それによって、どうなる?)→
  • 場を明るくする存在になれる→(それによって、どうなる?)→
  • 「自分も変わりたい」と思う人が次々と出てくる→(それによって、どうなる?)→
  • 毎日が楽しい人が増える→(それによって、どうなる?)→
  • みんなが和やかになる→(それによって、どうなる?)→
  • 世界平和

miyamoto最初は、「ダイエットが世界平和につながる?そんなおおげさなぁ」と思ったそうです。しかし、「直接的に世界平和にはつながらなくても、シェイプアップできれば、間違いなく自分の自信になるし、うれしい。いつもうれしい表情をしていれば、家族や職場の同僚も明るくなるかもしれないし、”Mさんみたいになりたい!”と思う人が出てくるかもしれない。そうすれば、まわりも明るくなって、いい関係が生まれる。自分のまわりを世界と考えれば、世界平和と言ってもいいんじゃないか」と思ったMさんは、ダイエットを開始。見事10キロのダイエットに成功しました。

大切なのはダイエットに成功したことではありません。「ダイエットに向かう動機付けが起こった」ということです。

この物語の詳細は、『じぶん設計図」で人生を思いのままにデザインする』に書いてあります。もしよかったら、読んでみてください。

問題点を抽象的思考で考えるためには?

では、身近な問題を、抽象的思考で考えるためにはどのようにしたらいいのでしょうか?

次のような問いの答えを考えると、考えやすいです。

  • もし、それが叶ったら(叶わなかったら)、何が得られる(失う)だろう?(シンプルにすると、「それによって、どうなる?」)
  • そもそも、何のためにそれが必要なんだろう?
  • 本来の目的や意味は何だろう?
  • 大切なのは、○○(細かい問題)ではなく、□□(問題を包み込む大きな概念)なのではないか?

たとえば、「Aさんとの人間関係が悪い」というテーマで、抽象的思考をしてみましょう。

  • 「Aさんと人間関係が悪い」→(それによって、どうなる?)→
  • 「職場の雰囲気が悪くなる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「協力関係が生まれない」→(それによって、どうなる?)→
  • 「仕事がスムーズに進まない」→(それによって、どうなる?)→
  • 「業務が滞る」→(それによって、どうなる?)→
  • 「顧客への納期が遅れる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「顧客からの信頼を失う」→(それによって、どうなる?)→
  • 「顧客を失う」→(それによって、どうなる?)→
  • 「売り上げに影響が出る」→(それによって、どうなる?)→
  • 「会社の利益が低下する」→(それによって、どうなる?)→
  • 「会社の存続が危うくなる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「日本の経済に影響を与える」→(それによって、どうなる?)→
  • 「不況をさらに長引かせる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「為替に影響を与える」→(それによって、どうなる?)→
  • 「世界経済が低迷する」→(それによって、どうなる?)→
  • 「人類が幸せでなくなる」

このように、「それ(状況や行動)によって、どうなるか?」を考えると、その結果(本来の目的)を、自然な形で導くことができます。

「それが叶わなかったら」ではなく、「もし、それが叶ったら」で考えるのもいい方法です。

  • 「もし、Aさんと人間関係がよくなったら」→(それによって、どうなる?)→
  • 「楽しく働ける」→(それによって、どうなる?)→
  • 「私の笑顔が増える」→(それによって、どうなる?)→
  • 「職場の同僚も笑顔になる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「職場の雰囲気がよくなる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「協力関係が生まれる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「仕事がスムーズに進む」→(それによって、どうなる?)→
  • 「仕事が楽しくなる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「新しいことをやりたくなる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「新サービスを開発」→(それによって、どうなる?)→
  • 「顧客に喜ばれる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「売り上げが上がる。上司からの評価も上々」→(それによって、どうなる?)→
  • 「会社の利益が上がる。給料も上がったりして」→(それによって、どうなる?)→
  • 「会社が発展。この会社で働いているのがうれしい」→(それによって、どうなる?)→
  • 「日本の経済に影響を与えはじめる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「景気がよくなる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「海外に輸出する」→(それによって、どうなる?)→
  • 「世界中の人が笑顔になる」→(それによって、どうなる?)→
  • 「人類の幸せ」

「人類の幸せ」まで考えなくても、「大切なのは、Aさんとの人間関係ではなく、顧客からの信頼だ」という、より大きな視点に気づけば、今、何をすべきかが見えてくるかもしれません。

抽象的思考を身につけるためには?

抽象的思考を身につけるためには、「それによって、どうなる?」を関連図にするとさらに分かりやすくなります。この方法を、トライアングルコミュニケーションモデルと言います。具体的思考と抽象的思考の両方の側面から、物事を考えることができる思考法です。

先ほどの、「Aさんとの人間関係が悪い」を図にすると、次のようになります。

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「それによって、どうなる?」という問いを繰り返すと、抽象度を少しずつ上げていくことができます。上のほうにあるもののほうがより大きな概念で、視点が広く、大きい点に注目してください。なお、逆三角形は視覚的に分かりやすくするためにつけました。気にする必要はありません。

まとめ

抽象的思考能力についてまとめました。いかがでしたか?

現代のような、先行きが不透明な時代は、「これをすれば大丈夫」という明確な答えがありません。それだけに、何をしたらいいのか分からなかったり、判断に迷ったりしてしまいますよね。まわりに流されそうになることもあるかもしれません。

ビジネスシーンでもそうです。仕事で問題を抱えたとき、何が最適解なのかが見出せないこともあるでしょう。また、「これをすれば大丈夫」という明確な答えがない分、問題が起こったときに、意見の食い違いや対立が起こりやすいものです。

しかし、こういう時代だからこそ、自分の頭で考え判断すること、より大きな視点で考えて、「本来の目的」を見出しながら仕事をしていくことが大切なのではないかと思います。

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