コーチング

簡単しかも効果的―深い部分とつながるセルフコーチング

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20140909

ご自身の成長が何よりも大切にされている方なら、「気づきの重要性」をお感じのことでしょう。なぜなら、気づきこそが、日々の思考を変え、感情を変え、行動を変えるきっかけになるからです。

気づきを促すものの一つに、コーチングがあります。コーチングは、「あなたにとって大切なことは何ですか?」のように、コーチから問いかけてもらうことによって思考のきっかけを作り、気づきを得るコミュニケーションの手法です。

もし、自分自身で、自分とコーチングのやりとりができたら(つまり、セルフコーチングですね)、日々、さまざまな気づきが生まれそうです。毎日がより充実するのではないでしょうか。

一方、「問いかけるといっても、何を問いかけたらいいんだろう?」のように、自分に問いかけるセルフコーチングに難しさを感じていませんか?

そこで、簡単、しかも効果的で、あなたの深い部分とつながることができるセルフコーチングの方法についてお話しましょう。

セルフコーチングが簡単ではない3つの理由

まず、一般的なセルフコーチングが簡単ではない理由についてまとめました。

何を問いかけたらいいか分からない

コーチングでは、相手に問いかけることによって思考のきっかけを得るのに対し、セルフコーチングでは、自分自身に問いかける必要があります。しかし、戦略が何もなければ、何をどう問いかけたらいいのか分からないでしょう。

答えがなんとなく分かってしまう

自分に問いかけても、その答えが、なんとなく分かっていて、新たな気づきにならないこともあります。たとえば、ハンバーグが好きな人が、「私の好きなものは何だろう?」と自分に問いかけたとき、その答えは、ハンバーグになるように。

質問のパターンに変化がない

コーチングで気づきが起きるのは、「自分にはない思考パターンの質問をされたとき」です。自分の思考パターンと異なった質問でないと、思考の変化が生まれず、大きな気づきは得にくいものです。

セルフコーチングで気づきを得るポイント

先ほどのハンバーグがそうであるように、何かを意識的に「考えよう」と思った瞬間、答えはすでに見いだし始めてしまいます。そのため、セルフコーチングとしての新しい気づきはあまり期待できません。

そこで、セルフコーチングを行うときは、「無意識で行っていることの理由を考えてみる」のが最も効果的です。つまり……

  • ふと、思ったことについて、「何が、そう思わせたのか」を考えてみる
  • 日常で感じることについて、「何が、そう感じさせたのか」を考えてみる
  • 何気ない行動について、「何が、この行動をとらせているのか」を考えてみる

このように、無意識で行っていることに対して、「何が、そう思わせるのか、感じさせるのか、行動させるのか」を考えてみるのです。すると、今まで意識することがなかった多くの気づきが得られます。

思考、感情、行動には理由がある

人が何かを思ったり、感じたり、行動したりするとき、その背景には理由(そうさせる何か)が必ずあります。しかし、その存在にはほとんど気がついていません。

たとえば、あなたが今、こうしてセルフコーチングの情報を求めているのは、何が、そうさせているのでしょうか?「自分をよりよい状態にしたい」という思いが背景にあるのかもしれません。さらに、「何が、『自分をよりよい状態にしたい』と思わせるのか?」を考えてみると、「日々を充実させたい」「よりよい人生にしたい」などの背景があるのかもしれません。けれども、そのような背景があることを意識して、情報を調べていなかったでしょう。

人の意識構造は次のようになっています。思考や感情、行動の背景にあるのが、信念や観念です。それによって思考が生まれ、感情が生まれ、行動を起こしています。筆者はこれを「信念の構造図(Belief Structure)」と呼んでいます。

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思考、感情、行動は、ある物事を見たり、聞いたり、感じたりしたときに自動的に反応していることが多く、その理由に気づくことはまずありません。しかし、ネガティブな思考、感情、行動は、私たちの仕事や生活を窮屈なものにしてしまいます。

そこで、普段、無意識に生じた思考、感情、行動に対して、「何が、私に、そうさせるのか?」と自分自身に問いかけ、考えてみます。自分の深いところにある信念(ポジティブな意味で、正しいと信じていること、自分にとって大切なこと)や観念(「○○すべき」「○○しなければならない」など、ネガティブな意味での思い込み)のパターンに気づけば、思考、感情、行動を変化させるきっかけになります。

信念の構造図を使ったセルフコーチングの例

たとえば、普段、スマートフォンでソーシャルメディアを見る機会が多く、「時間がもったいない」「なんとなく嫌な感じがする」などの思考や感情があったら、「何が、私に、スマートフォンを気にさせるのか」を考えてみます。すると、「他の人の行動が気になる」「いいね!が欲しい」のような答えになるでしょう。さらに、「何が、私に、『他の人の行動を気にさせる』のか?」「何が、私に、『いいね!が欲しい』と思わせるのか」を考えてみます。すると、「なんとなく寂しい」「周囲から承認されることを期待している」などの本心に気づくかもしれません。

simple-self-coaching-2

なんとなくとっている行動の背景に、「周囲から承認されることを期待している」ということに気がつけば、「その必要はないな、ちょっとやめておこう」と思うかもしれません。また、思考や行動を変化させるなら、これまでの、自分自身がやってきたことを振り返り、「これまで、いろんな苦労があったけど、それでも、いろいろ頑張ってきたじゃないか」と自分を承認できたとき、外部から承認を得なくても、自信と取り戻せるかもしれません。

「何が、私に、そう思わせるのか?」を繰り返し考えることによって、思考、感情、行動を変化させるために必要なことに気づけるのです。

セルフコーチングがもたらす5つ効果

ご紹介したセルフコーチングを行うと、次のような効果が期待できます。

「自分が知らない自分」に出会える

人の思考や感情は、無意識に起こるものです。行動も、無意識に行っているものが多くあります。「何が、私に、そう思わせるのか?」を繰り返し考えることによって、「自分が知らない自分」と出会えます。「自分にとって大切なこと」とはつまり、「自分の心とつながる」ことでもあります。

軸がぶれなくなる

「何が、私に、そう思わせるのか」を繰り返し問うようになると、自分にとって大切なことに気づけます。自分にとって大切なことは、自分にとっての軸でもあるので、芯がぶれにくくなります。

たとえば、筆者にとって大切なことは、「一人でも多くの人の仕事を楽しくすること」です。これが物事を判断するすべての根底にあります。

制限がゆるむ

ネガティブな思考、感情、行動をしているときに、「何が、私に、そう思わせるのか」を問うと、「○○すべき」「○○ねばならない」のような、制限となる観念があることに気がつきます。観念がゆるみ、反応する思考、感情、行動がポジティブになったら、どれだけ仕事を、人生を豊かなものにしてくれるでしょうか。

行動的になる

「何が、この行動をとらせているのか」を自分自身に問うと、「なぜ、それをするのか?」(行動の理由)が明確になります。ポジティブな行動の理由は、行動自体に意味を持たせてくれるので、行動的になれます。また、ネガティブな理由は、行動を変化させるきっかけになります。

対人関係がよりよくなる

対人関係で、ネガティブな感情を抱いたときに、「何が、私に、こう感じさせるのか?」を考えるようになると、自分が相手に抱いている思いに気づきます。「これは、自分の中で起こっている反応で、相手には関係ないな」「もう、影響されなくてもいいな」のような気づきが得られると、対人関係がよりよくなります。

対人関係の問題を解決するには、結局のところ自分の心と向き合うことです。

まとめ

セルフコーチングのやり方についてまとめました。

セルフコーチングについて調べてみると、「セルフコーチング質問集」などを紹介しているサイトもあります。それらは、とても参考になりますが、自分自身に問いかけても、その答えは、想定内の答えにしかならないでしょう。また、多くの質問リストは覚えきれず、日常使いができません。

ここで紹介した問いのパターンは、「何が、私に、そうさせるのか?」という一つしかないので簡単、シンプルです。しかし、普段、無意識に反応する思考、感情、行動を問うので、自分の深い部分とつながることができます。

ぜひ、日常的にやってみてください。

この方法は、トライアングルコミュニケーションモデルという思考ノートに基づいています。思考をノートに書き出してみても、面白い発見があります。また、関連記事として、@IT自分戦略研究所に、仕事に「やりがい」がなくていいの?――固定観念の「プログラムバグ」を修正しようという記事を寄稿しています。良かったらご覧ください。

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