トライアングルコミュニケーションモデルの使い方

TCMは、チャートに描くことで、「会話の流れ」と「問いかけの流れ」を見える化します

ノートに描き出すと思考法やノート法になり、TCMの流れで周りの方と接することでコミュニケーションが簡単に、シンプルに、体系的にできるよう設計されています。

まずは、ご自身で実際に描いていただくことで、TCMの雰囲気をおつかみいただけます。

TCMの描き方

TCMのコンセプトはとってもシンプルです!
「頭の中にある情報を一枚の紙に映し出すこと」
それだけです。

TCMでは、次のような図を書きます。

tcmimg

具体的には、次の4つのステップを踏みます。

【ステップ1】:考えたいテーマを紙の真ん中に書く

自分の「望ましい姿」「抱えている問題」を一言で表し、紙の真ん中に○を書いて考えるテーマを書きます。

【ステップ2】:上に線を伸ばし、テーマの目的や意味、本心を明確にする

望ましい姿が叶うことで「何が得られるのか」、抱えている問題によって「何を失うのか」、核心を繰り返し書き出します。

【ステップ3】:下に線を伸ばし、テーマを具体化する

望ましい姿、抱えている問題を4W1Hや、どんなシーンで(視覚情報)、どんな声が聞こえて(聴覚情報)、どんな気持ちか(体の感覚)などの視点で、自分で考えを整理したいのなら自分自身に、相手がいるのなら相手に問いかけ、具体的に聞きだします。矢印を伸ばして書き出し、さらに必要があれば矢印を伸ばして書き出し、イメージを具体化します。

※ステップ2と3は入れ替わってもかまいません。

【ステップ4】:全体像を振り返る

書き出した望ましい姿や抱えている問題の全体像を振り返り、確認します。

このように絵を描きながら考えることで、自分の考えの意味や価値が明確になり、具体的なイメージを描けるようになります。

TCMを使って考えてみる

たとえば、「ブログを書く」ということをテーマに考えてみます。

よく、「アウトプットが大切だ」と言われますが、いざブログを書こうと思っても、「具体的に何を書いたらいいのか分からない」「何の目的で書くのが分かっていない」などの理由で、なかなか書き出せないということがあります。

TCMはこのような「ぼんやりと考えていること」から始めます。

真ん中に「ブログを書く」と書き、○で囲います。

まず、ブログを書く目的について考えてみます。「目的は何か?」と考えてもいいのですが、「目的」なんていうと、なんだか難しくて堅苦しいイメージがあるので、「ブログを書くことで得られることは?」と考えます。私たちが行動の動機づけになるのは、「何かを得たい」「何かを失いたくない」のどちらかだからです。ブログを書くことによって得られることは人によってさまざまだと思いますが、「日常の記録」「自分の存在や専門性のアピール」「自分の考えの整理」というところでしょうか。

真ん中の「ブログを書く」の上に矢印を上向きに書き、○を描いて、浮かんだ考えを書き込みます。

続けて、その上に矢印を伸ばしてさらに「それによって得られることは?」を考えます。つまり、「日常を記録することで、何が得られるのだろう?」「自分の存在や専門性をアピールすることで、何が得られるのだろう?」「自分の考えを整理できることで、何を得られるのだろう?」という具合です。

「考えるきっかけ」「仕事の機会」「分かりやすく伝える練習」「自分と向き合う」などの考えが浮んだとしたら、先ほどのように、上に矢印を書いて○を描き、その中に浮かんだ答えを書き出します。

続けて、さらにさらに考えてみます。「考える習慣」「仕事の機会」「自分自身を知る」などの考えが浮かび、最後は「仕事の楽しさ」「豊かな生活」など、上に伸ばして考えるほど答えが抽象的になってきます。

このように、「ブログを書こう」となんとなく思ったことの背景に、実は、「自分は仕事を楽しくしたいと思っているんだ!」「豊かな生活を送りたいと思っているんだ!」というような、「自分でも意識していなかった内なる背景」があることが分かります。単に「ブログを書く」だと、あまり動機づけされませんが、「毎日、『ああ!そうか!』という気づきが起き、仕事を楽しくするためにブログを書く」「新しい自分を見つけ、豊かな生活をおくるためにブログを書く」というように、それをする意味が明確になるために「やりたくなってくる」(動機づけされる)のです。

tcmsample

続いて、下に矢印をのばして、ブログを書くことについて具体的に考えてみます。やり方は単純で、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どのように」「どんなシーンで」「どんな声が聞こえ」「どんな感じがするか」など、4W1Hや5感のキーワードで考え、思いつくまま言葉にし、書き込んでいきます。

この例では「できるだけ毎日」「どこでも」「主に仕事に関すること」「読者をハッピーに」などのような項目が浮かんできました。4W1Hや5感の言葉をキーワードで考えることで、「ブログを書く」というテーマについて網羅的に考えることができます。

さらに、矢印をのばしてその詳細を具体的にしていくことができます。三角形の裾野を広げることを意識して細分化していけば、ブログを書く内容が明確になってくるでしょう。つまり、下に矢印を伸ばすと、考えが発散し、アイデアを整理しやすくなるのです。

このように、TCMは、上に矢印を伸ばして考えると、物事を抽象的にする「抽象化思考」「収束思考」ができ、下に矢印を逃して考えると、物事を具体的にする「具体化思考」「発散思考」ができます。「抽象化と具体化」「収束と発散」の両方向の思考が一枚のチャートでできることが、TCMの特徴の1つです。

TCMで使う2つのチャート

トライアングルコミュニケーションチャート

トライアングルコミュニケーションチャートは、頭の中にあるイメージを具体的にし、目的や意味を明確にします。また、真の原因の発見を促し、問題によって失う課題を明確にします。

トライアングルコーチングチャート

トライアングルコーチングチャートは、コーチングやカウンセリングなどのシーンで、未来と現実をつなぐ役割を果たします。「望ましい未来」「今、間の前にある課題」を明確にし、未来と現実のギャップを埋めるために必要な行動計画を立てるとともに、今できる行動を見出します。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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